『中国映画の熱狂的黄金期』 - 今週の一冊
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『中国映画の熱狂的黄金期』
改革開放時代における大衆文化
のうねり
劉文兵 著
2012年・岩波書店発行
まず、著者をちょっと紹介しておきますと、
劉さんお名前でもわかるように、お生まれが1967年。
東京大学で学ばれ、博士号をお持ちの方の様で、
現在は、映画専門大学(あの佐藤忠男さんが学長をしてる
というあそこですかねぇ?)の客員准教授をされておられる
そうです。
ちょっと、この映画専門大学?というのにも触手が?動いた
のですが、こちらは日本の学校ですし、今回取り上げた中国映画
とは無関係ですので、先へ。
で、この著者に戻りますね。
何時、どの時点から日本にいらしたのかが判りませんが、
この本で取り上げた映画の殆どは彼は、中国の方ですからそのまま
中国語で見てますよね。当たり前ですが。
また、日本で公開されていない映画がほとんどですので、中国語
以外考えられません。
興味深かったのはですね、ここで取り上げられた中国の黄金期の
映画は時代が少し戻ってます。
それを、この方は恐らくは中国に居られた時、若い時にご覧になって
ますよね。もちろん見返したりもしてますし、最近はDVDなどで
繰り返し視聴が可能です。ですが、映画の印象は矢張りあの暗闇
の中で初めて見たその時のその印象が語られています。
彼がこれを書いてるのは今なわけです。つまり、日本で。
日本で、あの頃の、あの時代の、自分が今離れている中国の、
懐かしい映像たちを語っています。と言う意味で興味深かった。
どの国にも、世界に伍して引けをとらない素晴らしい作品を
つぎつぎに送り出すある“時代”が必ずあります。
中国にもあった。あった、という過去形でもう構わないと思い
ますが、では、中国のその“時代”とは何だったのか。
誰もが題名を挙げれば、その年代の人たちの一人残らず?が
その作品を見ていた良き時代?は、もう今後は出現しないでしょう。
その意味で、確かに「熱狂的黄金期」でした。
中国は映画世界でもちょっと他の国とは違った特殊な環境下に
あったということを付け加えておく。
それは実はいまなおある問題だが、
近代化と、映画の衰退がそんな問題も吹き飛ばして終った。
わたしの期待は、中国映画もう少しまた元へ戻ってくれないか、
と思っている。
黄金時代は何故“黄金”だったか?それって単にいま言われてる
娯楽の多様性で片づけていいの?
作り手に期待したい。
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