今週読んだ本、『紅の党』習近平体制誕生の内幕
習近平体制誕生の内幕
朝日新聞中国総局編
朝日新聞出版 刊
奥付には執筆者一覧として
七名の方のお名前があがっています。
この本、出だしが
第1部 薄熙来
でして、本の売れ行きを考えればこんな出だしも
ありかな、とは思いますが、
第2部で 赤い貴族
第3部が 指導者たち
となって、漸く本題に近づくという構成になってます。
体制が変わったこの2012年という年はちょっと
中国にとっても特異で大変な年だった、というのは後世この
年を顧みた時にその指摘がされると思います。
2012年、中国は薄熙来ボォ・チィ・ラィという一人の
政治家を巡るスキャンダルで大きく揺れます。
この年は、日本と中国の国交正常化40年の節目の
年でもありました。
それが、春先の石原新太郎・当時東京都知事の尖閣列島
東京都購入計画表明、というのが突然打ち出され
40周年記念を祝うべく予定していたすべての行事が
中止を余儀なくされます。
その後、日本政府がこの尖閣列島を国有化、
そして、反日のデモへ。
そして、同じくこの年、中国はその指導体制を大きく変える
節目の年でもあった。
この本は、その年に狙いを定め、
更に、この国家権力の継承に登場してくる人たちとその周辺を
取材することで構成されています。
新聞社の取材ですので、関係する国の出先にもきちんと
取材記者が向かったりしてその点では丹念で、この本の魅力だと
おもいますが、
一方で、数人で書かれているので、話が重複していたり、
出版にあたり当然その根幹と言うか柱の部分では打ち合わせも
されて、一貫性をもつようにはされてるようですが、向かう先が
ちょっと違っていたりの部分はあります。
新聞社の方が取材するのは、それがお仕事ですので、
われわれが、というか一般人が普通にはお話を伺えないそんな
人たちを遠く外国まで追いかけて、話が聴けるという点では
この人たちしかできないことです。
それは、逆には取材対象の人は、取材を前提にお話しされて
ますので、取材であることを十分に承知し、とりわけ中国権力の
こうした中枢のお話を、取材という形で一体どれだけ聞き出せる
のかは、また別の問題としてあります。
でもまぁ総体言えることは、
これを書いた記者さんたちはそれなりにやりがいがあっただろうな、
とは推測できます。
見えそうで見えない、中国のそうした中央の秘密に自分の脚で
耳で、目で近づこうと動き回るのは、現在の新聞記者さんたちが
したくともできない、昔ながらのある脚でかせぐ取材をした
たまものでしょうから。
無論、誰一人その深い闇の中心へは近づけませんが、
それでもまぁ、何歩かは闇の中へ入り込んでみたその感想が
ここには書かれています。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント