中国テレビドラマは、何処へ向かおうとしているかー「家産」を見て
日本のテレビドラマが中国でどれくらい見られているかというと、
ちょっとお寒い状態にある話を昨日しました。
では、そうした国外のテレビドラマが歓迎されていないのかと
言えば、それは違う。むしろ見たい人は沢山いる。
それは、日本でもそうなように韓国ドラマがある意味証明して
くれてもいる。
日本のドラマが中国へ入っていけないのは、一時期それも
かの江沢民時代の“反日”のせいだとする意見を目にしましたが、
それはちょっと余りに穿った見方でしょう。そこまで中国政府は
やらないと思います。韓国ドラマが入り始めた頃、日本のドラマに
それに対抗するだけの、一つは品質がなかったこと、いま一つは
価格が折り合わなかったこと、が最大の原因。韓国ドラマは見事に
この二つをクリアして中国に入り込み、いま尚一定の枠を持って
いるし、これからも続けるだけの余力がありそうです。
もっと日本のドラマ制作者に頑張って貰いたい。若い人たちが、
確かにテレビというメディア媒体から離れだしている現状がある。
だからと言って、それがすぐ質を下げる原因になるとは思えない。
良い“本”と“役者”と“演出家”が居れば、“視聴率”の取れる番組は
今後だった現れるでしょう。現れて貰いたいと、期待している。
中国のテレビドラマにもついでに?ちょっと触れておきたい。
中国はテレビ局数も多いので、恐らく年間造られているドラマの数も
相当多いですね。私は日本人の中では飛びぬけてその中国テレビ
ドラマを見ている一人だろうと思います。
年間どれくらい見てるのでしょう。ディスクで買い求めて見る。
衛星放送で放映されたものを録画して見る。この二つが私の中国
テレビをみる方法です。
ネットでダウンロードしても見れるのですが、上の二つの方法で
見ているドラマだけでもう十分時間がとられますので、これ以上は
望んでもいません。
で、中国ドラマいま向かっている先は何かと考えると、
ドラマがしきりに、中国の“いま”を時代を捉えようとして追っかけて
いるように思えます。そうした作品が多い。
時代が大きく変わり、自分たちの生活に大々的な変革がやって
きて、これまでの価値観、倫理観、人生観が崩れ始めた時、
中国の人たちが今知りたいのは、では、一体他の人たちはこれに
どう対処しているの・・・という問題を解決するために、そのヒントと
いうか、方向性を示す番組がドラマとして完成度が高いと思います。
これは多分に私の好みも入ってますので、そうしたドラマが視聴率
が取れるかというと、高視聴率かどうかは私も調べてませんが、
一定の支持は受けているようです。
こちらは、2年前放映のドラマ「家産ジャァ・ツァン」。
物語は、ある日突然亡くなった父親が残した財産を
巡っての、その三人の息子と娘、更にその子供たち
の荒く言ってしまえば財産争いのお話。
最後は結局、さんざん揉めたあとの一家揃って
の結束が一層硬くなる、という目出度し目出度し、
の終わりが最初から読めるドラマですが、
この財産争いに絡めて私の言い方では“脇筋”といいますが、
孫たちの適齢期を迎えての恋愛観だとか、不動産バブルの中での
残された家の価値、バブルといいながらそれでいて、仕事につけない、
いい仕事が見つからない息子たちと、子供たち家庭の中にもある
格差の問題、などなどを添えて提起され、一体自分たちにとって
本当に大切なものは何なの・・・?の問いがテーマです。
そういえば、このドラマに登場する長女の息子はテレビ局勤務で
経済的には安定してますが、視聴率に追われる様子なども描かれ
ています。
前にドラマ「老大的幸福ラォ・ダァ・ダ・シン・フ」のことを書きました。
一度お金に向かった自分たちの価値観を、覆す登場人物が「老大」
でした。
こうした傾向を私が好んで見ている点も加味して、私がいま
中国テレビドラマについて言えることは、
このように中国テレビドラマは現実を追いかけてるわけですが、
中国の現実の変化の激しさから、その現実に追いつくにはまだまだ
相当時間がかかりそうです。
だから当分の間この制作方法で中国テレビドラマは安泰と
いえます。ただ、ず~とこれだと現実に追いつけないドラマにいつか
視聴者の方が飽きてしまうことはあるでしょう。
でも時代が大きく動いているうちは、その動きに合わせてそれを
描いているだけでドラマチック。
でしょう??だから当分制作には苦労しないと思います。
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