中国鉄道事故ー「鉄道は経験工学。・・動かすのは機械ではなく人」
先日の上海地下鉄事故の処分が発表となり、一応の事故の収束に入っている
中国。更に7月末の中国高速道路から2ヶ月半、事故調査報告書が発表となる、
など、相次いだ鉄道事故の収束を図ろうとしている。
上海地下鉄事故では、当初はその事故原因を信号制御システムの欠陥に
あるような発表があったが、その後は一転、人為的ミスによるものとの見解を
示し、今回その責任をとるかたちで地下鉄運営会社の幹部など12名の処分を
発表している。
日本では報道されてませんが、昨日また中国では高速道路
でのちょっと大きなバス事故が、天津高速道路であったり、事故が
多いです。急激な発展によるひずみと言ってしまえばそうなので
しょうが、それにしてもこうした交通機関の事故が続くのは、
前にもこの事故を伝えた際に書きましたが、“人”を育てるのを
急がなくてはなりません。
ずっとそう主張してきました。それを専門家の方も言っているのを
目にしましたので紹介いたします。
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「鉄道は経験工学。そして、動かすのは機械ではなく人」
日中鉄道友好促進競技会の事務局幹部に聞く
(日中友好協会機関紙「日本と中国」第2103号 9月25日)
中国高速鉄道に必要なものはー。日中鉄道友好推進協議会の事務局幹部
に聞いた。
ニュースで「日本の新幹線は事故が少ないと」と報じられているようだが、
機械はいつかは壊れるもの、人間はエラーするものということを前提とした
対策が必要である。どこの国でも開業当初はトラブル(初期故障)がある。
東海道新幹線でも、開業当初はパンタフラフやブレーキのトラブルがあった
ことを先輩から聞いている。重要なことは、トラブルに対してどう安全を担保
するか、どう事故対策を立てるのかということだと思う。
昨年9月、会見した劉志軍鉄道相(当時)さえも「中国は車両などのハード
面は日本と同等かそれ以上になったが、日本が40年以上の経験を持つ
ソフト面ではかなわない。ぜひ学ばなければならない」と語った。鉄道業界で
のソフト面とは「オペレーション&メンテナンス(O&M)」を指すが、中国はこの
O&Mが日本よりも多少遅れていると感じる。
在来線の高速化に関しては、中国は日本よりも実績がある。営業キロ数
もそうだが、時速160キロほどの列車を中国全土で走らせてきた。だから、
スピード面では自信があったのだろう。しかし、時速200~300キロの高速域
では経験が少ない。でも「できる」という自信で進めてきたのではないだろうか。
実際にやってみると色々と課題も多く「まだ早かった(経験不足)」ことがわか
ったので開業している高速鉄道のスピードダウンを図ったのだと思う。
鉄道のソフト面はやはり「経験工学」。日本の新幹線はスピードを上げる
ことにとりわけ慎重で「はやぶさ(東北新幹線)」を例にしても、開発から営業
運転まで約6年以上もかけている。だから、オリンピックなどのイベントに合わ
せて開業を急いできた中国の高速鉄道には、今後経験を積み重ね更なる飛躍
を期待したい。
そして、「最後は人」だということ。列車をつくり、動かすのは機械ではなく人。
その点では、日本人のクオリティに対する意識は世界トップレベルにある。
中国鉄道には、今後、意識改革、人材育成を積極的に展開し、さらなる
安全な列車運行の確保を図って欲しい。
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との専門家の意見です。
全く同感ですね。今回の事故を教訓により安全で快適な鉄道の旅が出来る
ようになることを願ってます。
これも先の事故の時に申し上げましたが、安全な大量輸送の一番の担い手
は鉄道です。そして中国は人が多いのでこの手段が絶対必要です。
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