映 画 『 孔 子 』
昨日はこの映画を見ました。
こちらは確か、今年の中国お正月
封切大作映画だったと思う。
ということは、日本公開はまだでしょうか。
大分以前に買い求めたのに、なかなか
見る気になれず、楽しそうなドラマばかり
見ていて、延び延びになり昨日やっと見終わった。
なぜ、直ぐに見る気が起きないかというと、
だって、この題名『孔子 コン・ズ』ですよ。あまりにストレートすぎて、
『イエス・キリスト』という映画を作って、さあ見ろと言われているようなもので、
どう描いたところが、見る前から大変だろうな、というのが想像できます。
なにを訴えたいの、と気が重くなります。ですので、手が伸びません。
それなのに、一応買ったのは、これまた「孔子」「論語」好きのなせる業
でして、私の本棚の二段はこうした「論語」と「孔子」の本で埋まっています。
それくらい出版点数も多いですし、出れば買っています。
因みに、映画とは直接関係有りませんが、「孔子」や「論語」が大好きなのは
中国人より、日本人でして、この二つを一つとするなら、これに関して書かれた
本の数の多さはダントツ日本が多いです。
日本は出版点数そのものが多いのでこの点も考慮したとしても、矢張り
日本人の「論語」好きは、度を越しています。
こんなに中国では「論語」が取りざたされてませんし、持て囃されても、
いません。
たまに中国人留学生で、「源氏物語」を読みました、なんてのがいます。
私も「源氏物語」は途中で挫折してますので、へぇ~全部読んだんだ、
と感心しますが。一方で留学生は私の本棚を見て、「聊斎志異」なんてのも
あると、これも見たんですか、等と感心されるのと同じなんでしょう。
話の中で「論語」の中の幾つかを諳んじている日本人の方が驚きですし、
どちらも外国文学に関心がある、レベルでいうなら、矢張り数的には日本人
の「論語」好きが圧倒的に数多いでしょう。
数年前に、中国のある大学の女の先生が、「論語」に関する本を出して、
ベストセラーなみの売れ行きを記録してましたが、大変失礼ながらその本の
書いてある程度のことであれば、日本のその関係の本を数冊読めば書ける
ような、書き尽くされた内容でちょっとガッカリな位で、こんな点からも日本人の
「論語」「孔子」に対する関心の深さと、そのレベルの高さが分かります。
ということを前提に、この題を見ただけで、大変だろうなと思ってみたら、
案の定大変でした。
この映画、日本人なら大体知っている
「吾十有五にして学に志し、・・四十にして惑わず、五十にして天命を知る。
六十にして耳に順う。・・・」
のこの、四十のあたりから、七十のあたりの「孔子」を描いたもので、
これまた、ちょっと詳しい人はご存知のように
孔子35歳の時に、魯の国にクーデターが起きますが、
そのあたりから、孔子は14年間の旅に出ます、このあたりがメインに
描かれています。
感想を率直に言わせていただければ、
予想した通りです。この映画が何を狙っているかは分かりませんが、
この歴史の流れをなぞるのが精一杯で、どうにかこうにか
この間の歴史的史実は、描いてはいますが、それを描くのがこの映画の
目的だったとは思えず、「孔子」を描きたかったのだとは思いますが、明かに
力不足です。孔子の人生の55歳のからの14年の長い放浪を追いかける
のが映画の殆どを占めていますが、全く脱線もせず、一生懸命描いて
はおりますが、それは余裕のなさなのか、真面目さなのかは分かりません。
つまり、歴史を視覚化して、紀元前の中国の様子が目で見えて、
その時代の臨場感を味わうことで満足できるなら、それはそれで、そうした
映画の存在意義もあるでしょうが、
この映画、そういうことで満足できる方にはお勧めです。
とはいっても、日本で公開されてないのであれば、レンタル屋サンにも
出回ってないのですかね。
映画の感想はともかく、この映画見たらまた、
もう一回「論語」を見直してみるか、という気になりました。
この辺がまた、日本人的ですが。
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