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2009年11月14日 (土)

『魯迅の日本 漱石のイギリス』 - 今週読んだ本

Lu_xun この本が面白いのは、失礼を顧みず言えば、

 その着目点が素晴らしいという、そのことに

 つきます。

  ですので、この題名に惹かれて買い求め

 ひさびさに又持ち出して読んでいるのは、

 最近その留学に関してちょっと考えさせられる

 ことがあってのことですが、

  それは、皆さんには関係ありませんので、

  この本にふれて話を進めましょう。

   私自身はこの「魯迅の日本」というのに惹かれて買ってますが、

  その横に副題「留学の世紀を生きた人びと」とあります。

   巻末に

   まだ無名の日本留学生、魯迅が今世紀はじめ、同じ東京・本郷

  の借家で欧州留学から帰って作家としてスタートした夏目漱石と

  擦れ違った事実は、単なる偶然を超えて日本社会のその後を

  暗示するさまざまな鍵をわれわれに提供している。

   「留学」という異文化のせめぎ合いの中で自らの生き方を探った

  二人から二十一世紀の日本とそれを取り巻く青春の、同時進行

  ドラマの序章が見える。

   とありますよう、著者の着眼点はまさにここにあり、なるほど

  この着眼点は面白いし、興味ある。

    魯迅が日本へ来たのは明治35年。

   この当時、中国からの留学生は東京には一万人以上いたらしいから、

   当時としては相当の数だったといえるし、時代を考慮に入れれば

   ある意味今よりも凄いかも知れない。

     という明治の時代の留学。現在の留学と背負っているものが

   違いますから、現代と比べても余り意味がないかも知れません。

    このあと、魯迅はご存じのとおり、東京をあとにして、仙台へ向かい

  ます。

    この時点で医学を目指していた魯迅はその後文学にその道を

   見出すのですが、彼の作品から汲み取れるこの日本留学の痕 は

  それほど多く見せてくれません。ですが、ではそれくらいのものでしか

  なかったか、というとそれは又違って、作品に表れる頻度とは違って

  彼の中に根をはった留学の体験が興味深く紹介されている。

    あまたの留学生がいるなかで、なぜかこの二人を取り上げてその

  時空を上手く対比させているこの本はそうした点で、何度も言う様に

  その着眼点だけでもう興味がそそられるそんな仕立てになっている。

    このやり方でなら他の時代を切り取って誰かと誰かが留学で

  会っていても可笑しくない同じ時期に、日本に居た、或は同じ場所に

  いた、なんて本が数冊はできそうだ。

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