中国を描ききる作家・余 華ー今週読んだ本『兄弟』
面倒なお付き合いも、早々に切り上げて、
時には仕事だって、適当な所で切り上げて、
とにかく、早く帰って続きを読みたくなる本が
年間に何冊かある。
そう多くはない。
長編でなければ夜を徹して読みきっちゃ、なんてことも若い頃のようには
できなくなったが、気が乗ればそれもある。
ところが、この本もそうだが、上下二冊組みそなりの厚みとなれば、
そうもいかない。それにもうあと残りが少なくなると今度は読みきってしまうのが
惜しくなる。そんな本にあった時は、嬉しくなる。
この本がそのひとつ。
中国を描ききる、というのはとても難しい。どう書いてもどこかが違い、
どこかが抜け落ちているようなそんな物足りなさをいつも感じる。しかし、
そこがある小説化の腕にかかると見事にそれは見事に描いて見せて
くれる。1960年生まれのこの作家、自分の同時代の中国を描いている
が、それは中国の小さな(中国では鎮ヂェンという、芙蓉鎮という映画が
あったのを思い出していただければ)街を舞台に、上の写真の上巻は
その街での、宋鋼と李光頭の兄弟(本当の兄弟ではなく両親が再婚した時
のそれぞれの連れ子)が繰り広げる人間模様。
文革を描くのも小説としてはそうとう難しいと思うのだが、ただあったことを
書くのではなく創作としてすばらしい、周りの人たちとの文革の嵐の中での
過ごし方がかかれている。
どう凄いかは実際に呼んでいただかなくては、私が説明したところで何の
役にもたたない。
何か最近面白い本ある?とご不満の方、是非この本を薦める、
中国は今年60周年を迎えいまその祝賀行事の準備に忙しいが
最近の中国のことが好く分かる資料をお探しの方、そんな公共機関や
経済学者が書いた中国を見て判断されるくらいなら
ぜひ、この本を一読下さい。
余りに素晴らしくて勿体ないので、
一気には書ききれず、来週のこの一冊もこの本の下巻について書いて
みようといまからも決めている。
読まなきゃソンの一冊(実際は上下巻2冊)です。
兄弟 上 《文革篇》
買ったきっかけ:
ある書評を呼んで。
感想:
素晴らしい!この本をみればいまの中国もこれまでの中国も分かる。
おすすめポイント:
経済成長に沸く中国のこれまでの来し方が、その時代に翻弄された人たちの物語。
兄弟 上 《文革篇》 著者:余 華 | |
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