中国四川、緊急救助隊現地通訳者 の 感想 ②
( 日中友好新聞 『日本と中国』 6月15日号
前日の記載部分の続き)
■ 猛暑の中で
17日深夜、北川県に移動。18日は30度を越す猛暑のなか、
倒壊した北川第一中学校での作業が続きました。四川省綿陽市
消防隊、北京市消防隊と私たちの3チームの共同作業でしたが、
これは、きっと救援現場でのはじめての中日連携だったのでは
ないでしょうか。
作業が進むにつれて、チームワークが生まれ、中国側が日本
チームから道具を借りる場面もあって、チームプレーは充実して
きます。通訳も必要に応じて危険な崩落現場に入ることもありましたが、
6人の通訳の誰もが不思議に全く身の危険を感じずに、隊員たちの
救助作業をどうしたらサポートできるか、それだけを考えるように
なっていました。しかし、運び出されるのは生徒の遺体ばかりで、一人
でもいい、生存してくれたらと、そればかりを願いながら作業を続ける
ことになりました。
第2陣(29人)も到着し、テントも設営されて、食事も日本から運び
こまれたインスタント食品に変わりましたが、私たちのためにJICA
と日本大使館のスタッフがお湯を沸かしてくれたり「後方支援」に
努めて下さいました。
■ 国の枠を超え
19日、朝の強い余震や上流のせき止め湖決壊の恐れから
撤退の命令が下されました。
待機中、ひとりの若い隊員が私たちのところへ来て、救助時に
使う中国語を教えて欲しいとのことです。
私たちが必要なことばを発音すると、彼はノートに一つ一つ
書き込み、何度もその発音の練習をします。「もっと救助活動に
役立ちたい」という気持ちが伝わってきて、私は、日本人のまじめさ
はよく知ってましたが、あらためて、胸にこみ上げてくる熱いものを
感じました。
5日間、救援チームのかたがたと行動を共にし、隊員たちとも
仲良くなりました。
「人の役に立ちたい」というやさしい心があれば、国を問わず、
民族も問わず、お互いの気持ちは通い合います。
今回の日本国際緊急救助隊救援チームは国という枠を超え
ました。その人道的精神に多くの中国人が心打たれたのです。
■ 高い倫理観
隊員の皆さんと別れたのは成都でしたが、皆さんから口々に
「ありがとう!」といわれた時、わたいはうれしくて、
通訳の仕事をやっていてよかったと思いました。
礼儀正しく、職務に忠実で、人のために尽くしたいという高い
職業倫理観。
「ありがとう!」と言うべきなのは、私たちの中国人のほうなのです。
以上。
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