『約束の夏』中国語版、北京と札幌で出版記念会
先日、北海道新聞にも取り上げられておりましたが、
旧満州引揚者の自伝的小説『約束の夏』(北海道新聞社刊)の
中国語翻訳版『夏天的諾言』(中国・当代世界出版社刊)がこのほど
発行され、北京と札幌で相次いで出版を祝う行事が開催された。
『約束の夏』は、札幌在住の児童文学作家、若松みき江さんが
自身の引き揚げ体験を8歳の少女の目を通して綴ったもので、
1歳の弟を、「日本が復興しても探しに来ない」との約束で、中国人
に託した母親の思いが題名に込められている。
この作品は05年に設けられた「ふるさと自費出版大賞」を受賞し、
引き揚げ時の苦労話だけでなく、当時中国の人々から受けた支援
と心の交流を記録している。支援への感謝の意味からも「ぜひ中国の
人々にも読んでもらいたい」と関係者の仲介で旧満州引き揚げ60周年
の昨年、翻訳出版にこぎつけた。
北京の出版記念会は、中日友好協会が主催し、劉徳有中華日本学会
会長、井頓泉中日友好協会副会長、孫東民中日21世紀委員会委員ら
が出席、挨拶に立った劉会長は「この本は、中日友好の書であり、侵略
戦争の歴史を記録した書である」と激賞。記念会の模様は人民日報でも
掲載された。
また、若松さんは北京外国語大学内にある日本学研究センターで、
中国人学生を前に記念講演を行い、引き揚げた時に受けた人道的な
支援に対する感謝の気持ちを語り、日中友好の大切さを訴えた。
札幌での祝賀会は、北海道日中関係学会などの呼びかけで、翻訳者
の李建華さん(「東方之星」総合企画会社社長)を招いて開催され、
古本英之理事長をはじめ、北海道日中友好協会の関係者も多数参加
した。
日中友好協会機関紙『日本と中国』第1958号 より。
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